プレゼンテーション:ロゴデザインの作り方
完成した制作実績がどのように作られているのか、あまりお伝えする機会がありませんので、そのまま記録するプレゼンテーション「デザインの作り方」。
今回は、クライアントにご協力頂き、ロゴマークとその応用製品の制作実例をご紹介します。
ロゴやシンボルマーク(略してロゴ)のデザインは、表面的な部分だけであれば、それほど工程は必要ありません。
ブランドや企業名にそのままフォントを当てたものや、イニシャルを図案化したものなどは、PCソフト上で完結できる場合もあります。
しかしながら、、簡単にできたものにオリジナリティやロゴに求められる普遍性(飽きずに長く、幅広い媒体で利用できる性質)を求めるのは、難しいかもしれません。
OPENGATEのロゴデザインは、ブランディング(ブランド構築)の第一歩と捉えて制作されており、おもに3つのステップを経て完成に至ります。
- 1.クライアントとその環境の徹底的な情報収集
- 2.クライアントとデザイナーの認識をすり合わせるための、サンプル案制作
- 3.サンプルからイメージを広げ、派生させたアイデア(バリエーション)展開と絞りこんでいく作業
3ステップに加え、4.完成したロゴを活かすための規定書(CI、またはVIシート)の作成、実際にロゴを使用した名刺等のご提案。
上記の流れを実際に制作を行ったクライアントの例を引きながら、お伝えしようと思います。
クライアントの要望と使用環境など。
今回ご紹介させて頂くクライアントは、3S CAR CRAFT、横浜市瀬谷区にある輸入車をメインに、板金塗装、販売、レンタカーなどのサービスを提供されています。
輸入車でも、主にヨーロッパ系、イタリア・フランス車につよく、またドイツ車も多く取り扱いがあり、イメージもユーロテイストを持たせたいというご希望がありました。
3Sと書いてサンエスと読み、3つのS、すなわち、スマート、セーフティ、サポートの頭文字を取って名付けられたそうです。
自動車、特にメーカー等には、エンブレムという特殊な使用環境があり、それらに近いイメージを持たせたい、というご要望がありました。
ステッカーやノベルティに完成したロゴを使用するという方向性や営業車、看板、ユニフォームなど、多彩な使用条件を考慮し、シンプルに一目で視認してもらえる分かりやすさも重要視されます。
サンプル案の作成。
クライアントのご要望、企業のビジョン、ユーザー(クライアントの顧客)の趣向、使用環境等々、様々要素を考慮し、まずは3つのサンプルをご提案(プレゼンテーション)します。
サンプルは、特に3案と決まっているわけではありません。
もっと多くお見せする場合もありますし、逆に多く作っても、すべてクライアントにお見せせず、デザイナー側で取捨選択しお勧めに限定する場合もあります。
サンプル案からのフィードバック。
サンプルの内、今回のクライアントには、1つを選んで頂きました。
それを元に派生したバリエーション、実際に使用した場合のサンプルや展開案も加え、次のプレゼンテーションを行います。
バリエーションは、元になるデザインやフィードバックの内容によりますが、非常に多数になることもあります。
今回のバリエーションは、主に、3Sを囲む要素の形状、展開して使用する、エンブレム化したデザイン、またすでに制作が決まっていたステッカーと名刺のデザインも同時にお見せしします。
ロゴを構成する要素(エレメント)に込めた意図
ロゴを構成する、3Sは社名ですが、周りを取り囲む円形は、当初、ボルトをイメージしたエレメント案もありました。
しかしながら、クライアントの工場は修理がメインではなく、塗装や板金、販売とレンタカーなので却下。
代わりの円は、3Sの3を意図した切れ目を入れています。
また、名刺にある3本線も、Smart, Safety, Supportの3つの社名コンセプトからの引用になっています。
そして、裏面のデザインアクセントとして、却下されたボトルのデザインは活かされました。
名刺や工場壁面への展開シミュレーションなど、ロゴの基本機能を確認します。
ロゴのデザインを評価する場合には、ロゴ単体を見ても上手くいきません。
実際に使用される状況を再現することで、正しく評価できます。
提案時にはよく見えたロゴが、実際に名刺やWebサイトに表示したときに複雑すぎてデザインが潰れてしまったり、印刷の条件によって元のデザインが再現できなくなったりすることがあります。
補足:考慮すべき条件や環境
大きいサイズ(看板、営業車、トラックなどのボディ)
小さいサイズ(Webサイト、アイコン、名刺)
カラーの再現(新聞広告=白黒、Tシャツ=シルクスクリーン印刷などは色のグラデーション再現ができない)
バッヂ、金属加工(細すぎる線、複雑な形状が再現できない)
上記の条件は一例です、場合によっては他にも考慮すべき内容や、除外してもよい内容もあるかと思います。
それらは、初めのクライアントとの打ち合わせで細かく確認・想定させて頂きます。
デザインの再現性を確保するアフターケア
時間と費用を掛けて作ったロゴですが、上手く活用しないとせっかくの投資が活かせません。
そのための使用規定を定め、他の業者や媒体利用の際に間違いが起きないよう、規定書とデータをお渡しします。
これは、CI(コーポレート・アイデンティティ)、VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)シートと呼ばれます。
ほとんどのデザイン事務所はこういったサービスをロゴデザインに合わせて提供していますが、規定に沿ってロゴを使用することで、クライアントのブランドを守ることになります。
以上がロゴデザインの作り方、一例になりますが、ぜひこちらのページもチェックしてみて下さい。3S CAR CRAFT DESIGN