プレゼンテーション:グラフィックデザインの作り方
完成した制作実績がどのように作られているのか、あまりお伝えする機会がありませんので、そのまま記録するプレゼンテーション「デザインの作り方」。
クライアントと協力会社にお願いし、今回は、スパークリングワインのポスターをご紹介します。
今回の完成品 ポスターと販促ツールです
まずは、お問い合せ頂くことから始まります。
問題解決のお手伝い
まずはお問い合せください。
OPENGATEは、単独で問題解決を行うノウハウがあります。
企画だけ、デザインだけ、販促だけ、媒体だけ。
そういった縦割りのプロダクションではなく、
小さいながら、プロジェクト全体を見てご提案できる、総合デザインコンサルティング事務所です。
こちらのフォームからお問い合せを受け付けていますが、もう少しお付き合いください。
check point
- 何を必要とするか、よりも、何をしたいか?を明確に。
- 大規模なプロジェクトより小規模・低予算が得意。
- 代理店を通さないので、質が高く素早いレスポンスが期待できます。
- 4.インターネットと紙、ロゴ制作の同時進行もご相談ください。
最初のお打ち合わせ
場所
お打ち合わせの場所や方法に決まりはありません。お客様の現状に合わせて行います。
時間は最低でも1時間は見てください。けっして退屈はさせないと思います。
ご用意いただくもの
グラフィックデザインの対象は、商品やサービス・お店の広告。会社案内・パンフレット。POP。名刺。フライヤー。看板など様々です。
具体的な制作内容が決まっていなくても、サービス・商品の特徴が分かる資料、予算、期日などがあった方が、より発展的なお話が出来ると思います。
制作ディレクターとの打ち合わせ
OPENGATEには営業マンはおりませんので、制作を担当するディレクターとはじめから直接打ち合わせになります。
話がダイレクト。実際の制作に関する内容にも、その場で可能な限りお答えできます。また、無用な営業トークや世間話で、お客様の貴重な時間を浪費いたしません。お客様も出来るだけ、意志決定の出来る方、全体を把握されている方の打ち合わせの参加が、効率よくスタートを切るポイントです。
check point
- 基本は直接面談ですが、メール・電話・Skype等の利用も。
- お打ち合わせには、意志決定できる方の同席が重要です。
- 代理店の下請け的お仕事はお受けしません。
- 初回お打ち合わせは基本無料です。(遠方での面談の場合は応相談)
今回のケース
打ち合わせの場所
横浜市内のファミリーレストランでお待ち合わせ。
広告する商品の概要
新しいブランド。新しい商品の立ち上げ。
オーストラリア産の赤いスパークリングワイン。シラーズ種というブドウが原料。
制作物の目的
飲食店、おもにナイトクラブなどで使用するポスターと、接客テーブルに置いて商品を訴求するためのPOP広告。
形状やサイズも含めた提案を求められています。
お客様の要望
商品の納期:出来るだけ早く欲しい。
予算:POP 1点の単価で要望があり。
仕様:テーブルの上に置く物なので邪魔にならない大きさ。
その他:商品名は「ENZO」ですが、「宴蔵」というキャッチコピーはどうでしょう?というご提案あり。
check point
- 予算・スケジュールの提案。
- POPの仕様の提案。
- デザインは特に指定なし。
- キーワード「宴蔵」(使うかどうか?)
打ち合わせ資料の公開
実際に打ち合わせ時の手書きメモです
お話を伺いながら、その場でアイデアを確認したり、お客様の話からイメージしたヒントをメモとして残します。
この段階で既にデザインを始めていると言ってよいでしょう
check point
- 打ち合わせの内容がデザインを生む基礎になります。(とても重要)
- 正確なお見積・スケジュールは、後送します。
- お見積を確認してから、正式に契約するか、ご判断ください。
作業前の下準備
POPの仕様案
予算や実際の使用方法を考慮して、いくつかのパターンをご提案しました。
御見積書の提出
POPの仕様と数量等による費用の違いを明記した御見積を提出し、内容決定のための資料として使って頂きました。
ガンチャートによるスケジュールの作成
デザインの案件は、「提案」→「確認」→「修正」→「再提案」というサイクルが続きます。
いわばお客様との共同作業。共通の目標達成のためには、スケジュールには特に気を遣っています。
グラフィックデザインの場合、印刷工程が入るので、スケジュールは前倒しで進めます。
商品撮影
商品の撮影
実物をお借りして撮影。
今回の商品の特性上、POPとポスターに使用する写真のクオリティが非常に重要になる、という判断をしました。
そこで都内のプロカメラマンに依頼し、ディレクター立ち会いの下、スタジオでの撮影風景です。
テスト
ライティング等のセッティングを行っているところです。
今回は1点の撮影でしたが、クオリティにこだわり、半日掛かりました。
撮影終了
撮影終了。
デジタルデータの加工を依頼して撤収します。
デザインの作業はひとますダミーの軽いデータを使って進めます。
デザインコンセプト=基本方針 を決める
コンセプトとは
広告デザインの場合、どうやって商品をPRしていくのか?がポイントになります。
またデザインのテイスト(雰囲気)をどうするか?と言うことも、ほぼ同時に検討します。
そうして決まった方針をコンセプトと呼びます。
コンセプトとなるキーワード
様々な条件を考慮して導きだしたコンセプトは、以下の通りです。
コンセプト
- 既存ブランドと価格で競合 → オリジナルな印象を与えたい。
- 商品の単価から、プレミアム感は必須。
- 商品の特徴 → 赤いスパークリングワインである事を印象付ける。
- 説得力より、インパクト重視!。
- 「宴蔵」と「ENZO」を結びつけ、デザインに落とし込む。
POPデザイン案 A
1.デザインA案
「宴」を強く意識し、「和」テイストを強調。
シンプルなグラフィックで洗練された印象を目指しました。
2.デザイン案 パターンに合わせて断裁
実際に立体化を行いテストします。
横のフタが付くタイプと付かないタイプの両方を試しています。
3.実際に立体化してテスト
この段階で初回プレゼンテーション。お客様の印象と意見を伺いました。
新たな課題
- 赤が鮮やかで、やや高級感に欠ける。
- 「和」テイストがストレート過ぎる。
- 横のフタは、コストと組み立てる手間を考えて付けない方を選択。
- 黒いグラフィックも見てみたいとの要望あり。
POPデザイン案 B
1.デザインB案
A案での課題を見据えて変更したグラフィック案です。
背景の「真っ赤」を実際の商品に近づけた「ディープ&クリアな赤」に変更。
背景色に合わせて、文字色も金色風に変更。ボトルを取り巻くようにフレアを敷いてみましたが、ビールぽいグラフィックになってしまった感じがします。
黒バージョンも作成。このままでは重くてインパクトがありません。オリジナリティにも欠ける印象です。
新たな課題
- ディープ&クリアな赤は悪くない。
- 黒はこのままでは平凡すぎる。
- ボトルを取り巻くフレアは、スパークリングワインには合わない。
- 全体的にインパクトが落ちている。
ポスターデザイン その1
デザインA案
ポスターは基本的にPOPと同じコンセプトでしたが、そのまま拡大してもインパクトに欠けると判断。
それでも全く違う要素を加えたり、別のコンセプトを持ち込む事は、相乗効果を期待できなくなるのでNG。
ひとまず印象を大きく変えない範囲で、「お」っと思わせるグラフィックを探ります。
デザインB案
ポスターも、POPと同様にディープ&クリアな赤へ変更。さらにボトルの並びについて試行錯誤しています。
見つけたモチーフ
「宴蔵」というキャッチフレーズを生かしながら、オリジナリティとプレミアム感。
落とし所を探りながら見つけたのが「カブト」。この佇まいと空気感がぴったりだと閃きました。
POPとポスターデザイン 最終案
ポスター最終案
そうやって辿り着いたグラフィックがこちらです。
POP最終案
クライアントに対しても、「海外から逆輸入した日本語」的ニュアンスがかなり受けがよく、POPも同様のグラフィックスで進めることになりました。
デザインのポイントまとめ
- 既存ブランドのトーン&マナーを追うことはしたくなかった。(一番簡単、効果もそこそこだが、決してオリジナルを超えることはない)
- 単にPOPとしての機能だけでなく、ブランディングの一翼を担えるクオリティを持たせたかった。
- 「宴蔵」というキーワードを生かしながら、諸条件をクリアできるグラフィックに仕上がったと思う。
- 「SHOGUN」「NINJA」「SAMURAI」と同じニュアンスで受け入れられるであろう想いを込めました。
素晴らしい仕事をさせて頂いた、サンクチュアリ 新楽さん、
撮影にご協力頂いたアドインパクトスタジオ 梅原さんに、
この場を借りて御礼申し上げます。